さて、今回は「和装人前式」演出についてのおはなし。
ベールダウン代わりになる和装人前式でのセレモニーは、どんな物があるの?
もくじ
紅差しの儀、その由来と意味は?
「嫁ぎの紅(とつぎのべに)」「紅引きの儀(べにひきのぎ)」とも言われます。
▼紅の元となる紅花から抽出できる赤色色素は、なんと僅か1%
神社の鳥居や水引、お守り、還暦の赤いちゃんちゃんこ…
血液や炎・太陽の色を思わせる「紅」は、その昔から生命の象徴とされ、魔除けや健康を願い、節目の様々なシーンで用いられてきました。
縁結びに名高い埼玉県の氷川神社からはじまった儀であり、今や和装人前式で人気のセレモニーです。
▼おばあさまからも
紅差しの儀、実地した感想
卒花さん
卒花さん
花嫁の母
娘として仕上げを行う機会はこれがラスト。一人前になった娘には十分親孝行をしてもらいました。
江戸時代から続く製法で紅を作り続けている「伊勢屋本店」で紅と筆をご用意なさったお母様もいらっしゃいました。
▼伊勢屋本店の動画
親が花嫁道具を娘に持たせる時代も過去になりつつあります。
この日のために特別な紅と筆を用意なさったお母様のお気持ちを想うと、花嫁さまの幸せを願わずにはいられません。
幼き頃、母に内緒でお化粧していた娘の成長を改めて感じるひとときになることでしょう。
筥迫(はこせこ)の儀
筥迫とは?
現代の「化粧ポーチ」のようなもの。
江戸時代の武家娘が持ち歩いており、守り札・お金・鏡・お香などが入っていたそうです。
当時は上流階級のみが許されていた文化で、庶民の憧れでした。
お母様から筥迫を胸元に差し込んでもらうのは、
身だしなみを整え、常に美しくありなさいという願いから行われるようになったとか。
アレンジの1つとして、お母様からのお手紙を入れても。
たとえ無言でも、絆を感じられる時間になりますね。
筥迫の儀、実地した方々の感想
卒花さん
卒花さん
花嫁の母
懐剣の儀
懐剣とは?
武家の娘が護身用に持ち歩いていた短刀。
婚礼の際にこの懐剣を差すようになったのは武士の妻の名に恥じぬよう「自分の身を守る」だけではなく、刀には神が宿ると言われていたことから「魔除け」の意味合いもあったようです。
右手ですぐに取り出せるよう左側に差すのは護身用の名残なのですね。
武家に憧れ、婚礼衣装に懐剣を差すことが一般的になったのは明治時代以降のこと。
懐剣の儀は「家族を守るその覚悟を持ちなさい」という意味合いがあります。
家族を守り、娘を一人前に育ててきたお母様からの思いを引き継ぐセレモニーです。
▼ロゼットや手作りリボンでアレンジしても可愛い
懐剣の儀、やってみてどうでしたか?
卒花さん
筥迫の儀と一緒に行う花嫁様も多いのです。
和装人前式でベールダウンの儀~紅差しの儀・筥迫の儀・懐剣の儀~ 最後に
通常は筥迫と懐剣袋は同じ色で合わせることが多いですが、それぞれ異なる色でもOK。
筥迫と懐剣は、基本的には打ち掛けを着る前に身につけるもの。
お支度の時間もかかるので、部屋で行うことのほうが多いかもしれません。
(会場によって認識が違うので、確認してみることをオススメします)
それだけお母様との時間を長く過ごせるので、日本人としてもぜひ取り入れてみたいセレモニーの一つですね。
挙式会場内で行う場合のタイミングはいずれもベールダウンと同じく、ヴァージンロードを歩く前です。
筥迫も懐剣もどうやって差せばいいか、もしお母様が分からなくても介添えさんが教えてくれるので心配しなくて大丈夫です。
ことぶき
送り出す者としては、ドレスでも和装でも変わらぬ「幸せになってほしい」という願い。
もちろん、この和装セレモニーもお母様だけでなく大切な人にお願いすることが可能です。
大切な人との、幸せな時間になることを願って。
